2025年9月21日(日)、第7回JDPBRN学術集会をWEB形式にて開催いたしました。今回のテーマは「Evidence-Practice Gapを改善するためのPractice-based Research ―Dental PBRN Japan設立15年の成果と展望―」とし、Practice-based Research(PBR)を通じて、エビデンスと日常診療とのギャップをいかに解決するかを考える場といたしました。本学術集会では、アメリカおよびブラジルの大学教授陣によるオンライン特別講演をはじめ、設立から15年を迎えたJDPBRNがこれまでに実施してきた研究成果の報告や、今後の展望に関する意見交換が行われました。
オンライン特別講演の最初には、米国National Dental PBRNのNational Network Directorである
Dr. Gregg H. Gilbert(アラバマ大学バーミングハム校歯学部 特別教授)による「Update on Activities of the National Dental PBRN」と題する講演が行われました。本講演では、PBRNの理念と意義、NIH/NIDCRの研究助成を20年にわたり受けている世界最大のNational Dental PBRNによる大規模な研究成果、さらに米国歯科臨床学会との連携による研究の展開についてご説明いただきました。また、米国におけるエビデンスと診療の一致率に関する研究成果や、PBRN参加者の診療行動の変容に関する知見についても紹介されました。
オンライン特別講演の2つ目では、米国National Dental PBRN南大西洋支部のDirectorである
Dr. Valeria V. Gordan(フロリダ大学歯学部 特別教授)による「International Dental PBRN Activities」と題する講演が行われました。本講演では、不良修復物の治療法に関する疑問を出発点とし、ご自身が取り組まれてきた基礎研究からPractice-Based Researchに至るまでの一連の研究活動が紹介されました。その成果をもとに、米国におけるEvidence-Practice Gap(EPG)の具体例を示し、EPGの改善に向けたPBRNの役割についてご説明いただきました。さらに、国際的なPBRNの設立ならびに活動状況についても紹介されました。
オンライン特別講演の3つ目では、ブラジル・サンパウロ州立大学(Unesp)アララクアラ歯学部の教授であるDr. Elaine Pereira da Silva Tagliaferroに初めてご参加いただき、「Overview of the Evidence-Practice Gap and Oral Health System in Brazil」と題する講演が行われました。本講演では、米国との国際共同研究を通じて得られたブラジルの歯科診療におけるEPGに関する研究成果、および日本とのEPG改善方策の立案に向けた国際共同研究の成果についてご説明いただきました。さらにブラジルの歯科保険制度についても紹介されました。
オンライン特別講演の4つ目では、JDPBRN会長である角舘直樹先生(九州歯科大学歯学部教授)による「Dental PBRN Japan設立15年の成果と展望」と題する講演が行われました。講演では、これまでの15年間にわたる日米国際共同研究、JDPBRN国内オリジナル研究、そして近年のブラジルとの国際共同研究の成果についてご説明いただきました。さらに、今後の新たな研究「歯科臨床医の疑問を解決するためのEvidence-Based Dentistry教育介入及び国際比較研究」についても紹介されました。
次に、参加者へのJDPBRN研究結果のフィードバックとして、国際共同研究Ⅲ「Evidence-Practice Gapに関する国際比較研究」、国際共同研究Ⅳ「エビデンス-診療ギャップの発生機序解明および改善方策立案のための国際比較研究」の研究成果報告が行われました。さらに、両研究の実施にあたり多大なるご協力をいただきました歯科医師の皆様に対して謝辞を申し上げました。最後に、参加された先生方との意見交換が行われました。
時差がある中にもかかわらず海外からご講演いただいた演者の先生方、そして全国各地からご参加くださった先生方に、運営委員会一同、心より感謝申し上げます。
