臨床研究とは、人を対象として、病気の予防方法や新しい治療の方法を開発したり、病気の原因や進行のしくみを解明すること、そして患者の生活の質の向上を目的として実施される医学研究でのことです。臨床研究には、対象者に対して治療や指導などの介入をおこないその結果を評価する「介入研究」と、治療や指導を受けた参加者の診療情報に基づいて研究をおこなう「観察研究」とがあります。臨床研究により、医療の質の向上に必要な科学的根拠(エビデンス)が作られます。臨床研究は治療のみならず、患者指導なども含み、その結果は即臨床現場に還元できます。優れた臨床研究によってエビデンスが集積され、ガイドラインが作成されています。

さて、皆様が実際に臨床研究をしようと思い立った場合、どのようなことを題材に研究したらよいのでしょうか?実は、皆様が毎日臨床をされながら感じている疑問こそが臨床研究の題材になります。これは、実際に歯科医院で臨床をしている先生あるいは歯科衛生士の皆様方にしか気づかないことが多いのです。また、その疑問は、多くの臨床医にとっても共通して切実な疑問であることが多いです。ですから、皆様の毎日の臨床にとって切実な問題を解決して、学会や論文で発表を行うと、その情報が多くの歯科医院に還元されます。そして最終的には歯科診療の質ならびに患者の健康状態を改善させることにつながります。これらの一連のプロセスが歯科医院における臨床研究であるといえます。